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| ■ 高校生の研究活動に思うこと | 2026. 2. 5 |
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)というのは、は文部科学省が主導して科学教育を重点的に行う高等学校等を指定する制度のことですが、縁があって、2019年度より県立相模原高等学校の運営指導委員を担当させて頂き、定年退職後も続けさせてもらっています。それで2月3日にSSH生徒課題研究発表会の午後の部と運営指導委員会に出席してきました。そこで感じたことのメモです。 非常にレベルが高くなって「立派な研究発表」という形になってきましたね。若い人たちが夢をもって研究に取り組んでいる姿を見ると熱くなりますね。精一杯生徒さんたちを応援したいと思いますが・・・ 社会の受け入れ態勢が整っていないのが残念。通常、研究者を目指す場合は学部から修士課程、そして博士課程に進学して博士の学位を取得し、4年生卒で就職する人たちよりかなり社会人になるのが遅くなります。その後、短期の雇用で食い繋ぎ、パーマネントな研究職を狙いますが、その可能性は一般にはあまり高くありません。 特に博士学位をとっても大学や公的研究機関等にしか就職先がない分野は状況が厳しいですね。理論物理学の量子力学関連、宇宙物理学、生態学等は学生さんからは人気が高いのですが専門を活かした就職は非常にハードルが高い。バイオテクノロジーも人気ですが、パーマネントな研究職に就くのは困難。少数の優れた頭脳と、そのアイデアを実験的に検証する多数のマンパワーで研究が成立している場合が多いようですね。その、頭脳タイプの人材にならないとパーマネントポストは難しい。 一方で、IT関連はハードもソフトもまだ当分は発展を続けるでしょうし、その分野で博士学位を有している者は企業等からも欲しがられるので問題は少ないですね。 そんな情報分野を除いて、一般には博士課程に進学すると、修士課程修了者よりも企業等の就職が悪くなるというのが実は一般的な傾向。私が関連する化学系分野では、博士の学位をとって就職がなくなるということはないですが、修士で就職した方がやはり安心です。実際、私の研究室に来てもらった博士課程の院生の大部分は社会人でした。既に職業を有しており、その職業の関係で博士の学位が欲しいという人には大学院は役立ちます。 でも、博士課程も含めた大学院は、本来はフレッシュな卒業生を受け入れて研究人材を育成する体制を目指しているはずです。 修士~博士課程在学時に自身で専門性を活かした事業を立ち上げて、それでバリバリとやっていこうとするような人材ならば多くの企業からオファーが来るでしょう。今後の大学院には、そういう人材育成が求められるのでしょう。高校生の研究を推進するなら、出口も準備しないといけませんね。 | |