☆台所用合成洗剤による手あれに関する消費者情報

 台所用洗剤による手あれの問題は非常に大きな注目を集めており、現在、市販されている台所用洗剤のキャッチフレーズに「手におだやか」、「マイルド」、「やさしい」といった形容が多く用いられていることからも、逆に以前販売されていた台所用洗剤には、無視できないレベルで手あれの原因になっていたものが含まれていたことをうかがえる。
 実際、台所用合成洗剤による肌荒れを体験し、その後熱烈な石けんファンになったという人々をみると、その体験談が20年以上前のことであるといった場合が多い。1950年代後半から台所用洗剤にLAS系の中性洗剤が用いられるようになったが、当初は洗浄力を重視した製品であったため、皮膚の皮脂膜を必要以上に奪い取ってしまい、しかも皮膚タンパクと結合しやすい陰イオン系の界面活性剤が主体であったために、台所用洗剤が原因とみられる皮膚炎が多くなったという事実がある。
 但し、1980年代以降は洗浄力よりは肌に対する刺激の少ないことが台所用洗剤に求められるようになり、少なくとも一般的な刺激という意味では石けん系の台所用洗剤と比較して問題があるとはいえない状況になった。現在は、むしろ、以前の台所用合成洗剤、または台所用石けんに比して、ずっと少量で洗浄可能な現在の台所用合成洗剤を、以前の合成洗剤や台所用石けんを用いるのと同じように多量に使用することによる使いすぎが肌荒れの原因になっている部分が多いようだ。しかし、消費者情報としては、合成界面活性剤が有害であるために台所用合成洗剤によって皮膚障害が起こると説明され、インターネット上の情報交換でも「だから合成界面活性剤は悪い」の一言で話が片づけられることが多い。
 このように、台所用合成洗剤をめぐる消費者情報は、洗濯用合成洗剤をめぐって展開された合成洗剤反対運動の一部として、合成界面活性剤の有害性を主張することによる合成洗剤手あれ原因説が多く語られている。
(2000年8月14日)

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