図解入門 よくわかる 最新洗浄・洗剤の基本と仕組み

大矢 勝 著、 秀和システム 発 行

ISBN  978-4-7980-3182-8



「はじめに」より

 洗浄は家庭での洗濯をはじめ、家屋の掃除、身体の清潔等の生活場面、各種工業や農業等の産業分野、各種サービス業などの広い分野で必要とされるプロセスであ り、目的に応じた各種洗剤が用いられます。筆者は、約30年前に泡で洗う洗浄システムの開発をテーマで卒論研究に着手してから、非常に多様な洗浄研究に取り組 んできました。洗浄科学の研究者というのは少数派です。そのおかげでしょうか、今まで洗浄・洗剤のセミナー講師や技術相談などを通じて多くの方々と情報交換す る機会がありました。
 金属加工や部品製造メーカーの技術者で洗浄工程での問題を抱えておられる方々、食品工場や化学品工場の技術者でプラントのメンテナンスのための洗浄方法の改 善を目指しておられる方々、クリーニングや清掃業の技術者または洗浄剤や洗浄機器の営業担当者で関連知識を深めたいと考えておられる方々、そして洗浄に関心の ある一般消費者の方々など、本当にさまざまな方々と洗浄を通じて触れ合ってきました。それらの経験から、汚れの種類、汚れ除去のしくみ、洗浄剤成分、機械作用 の種類、各種洗浄試験法、洗浄率の意味など、洗浄の基本知識を整理すると、洗浄の現場の方々にも役立つことが多いことを知りました。
 今まで洗浄・洗剤関連分野で優れた書籍が多数出版されていますが、本書は幅広い範囲に共通する洗浄理論をコンパクトにまとめたという点で特徴があると思いま す。各種洗浄剤、洗浄機器および洗浄性の評価方法に関する基礎知識を整理するとともに、洗浄メカニズムを分離型、溶解型、分解型の3通りに分けて考える手法 や、汚れの種類別の洗剤・洗浄方法の選択法、洗浄のモデル試験の組み立て方、洗浄速度の捉え方や、エントロピーの概念を用いた洗浄と環境の関係の捉え方など、 オリジナルな情報にも富んでいます。本書が洗浄方法の改善のヒントになったり、洗浄・洗剤分野の疑問解決に何らかの形で役立つことを願っております。

第1章 洗浄の基本
1-1 洗浄の意味と種々の洗浄分野
1-2 3つの汚れ除去メカニズム
1-3 分離型洗浄の特徴
1-4 溶解型洗浄の特徴
1-5 分解型洗浄の特徴
1-6 汚れの分類
1-7 洗浄性を決定する要素
コラム どれほどの清浄度が求められるか?

第2章 界面活性剤
2-1 洗剤と界面活性剤
2-2 界面活性剤の基本構造
2-3 界面活性剤の吸着
2-4 表面張力の意味
2-5 界面活性剤の濃度特性と基本作用
2-6 浸透湿潤作用
2-7 乳化作用
2-8 分散作用
2-9 可溶化作用
2-10 起泡作用
2-11 再汚染防止作用
2-12 汚れ除去のしくみ
2-13 界面活性剤の分類法
2-14 石けんの化学構造と製造法
2-15 脂肪酸の種類と石けんの性質
2-16 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)
2-17 高級アルコール系陰イオン界面活性剤
2-18 その他の陰イオン界面活性剤
2-19 ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)
2-20 アルキルフェノールエトキシレート(APE)
2-21 AE、APE以外のノニオン界面活性剤
2-22 陽イオン界面活性剤と両性界面活性剤
2-23 新型界面活性剤
コラム 混ぜ物で変わる界面活性剤の性質

第3章 酸と塩基
3-1 酸と塩基とpH
3-2 アルカリ剤の種類
3-3 アルカリと負の表面電位
3-4 DLVO理論と洗浄
3-5 アルカリの溶解作用と分解作用 84
3-6 酸が汚れを落とすしくみ
3-7 無機酸の種類と性質
3-8 有機酸の種類と性質
3-9 酸・アルカリの取り扱い上の注意点
コラム 酸解離定数、電離度とpH

第4章 酸化剤と還元剤
4-1 酸化と還元の意味
4-2 漂白剤の種類とはたらき
4-3 塩素系漂白剤
4-4 酸素系漂白剤
4-5 漂白活性化剤
4-6 活性酸素
4-7 還元剤
コラム 酸と酸化の関係

第5章 軟化剤ほか
5-1 水の硬度と洗浄
5-2 リンと富栄養化現象
5-3 代表的な水軟化剤
5-4 種々のキレート剤
5-5 酵素
5-6 再汚染防止剤
5-7 蛍光増白剤
コラム 石けんと水の硬度

第6章 水以外の液体
6-1 非水系洗浄の目的と洗浄剤
6-2 炭化水素系洗浄剤
6-3 アルコール系洗浄剤
6-4 塩素系洗浄剤
6-5 フッ素系洗浄剤と臭素系洗浄剤
6-6 準水系洗浄
6-7 準水系洗浄剤
6-8 KB価、SP値とアニリン点
6-9 有機溶剤の汚れの溶解性と基質の膨潤性
コラム 超臨界流体とイオン液体

第7章 洗浄装置
7-1 種々の洗浄装置
7-2 超音波洗浄
7-3 シャワー・スプレー・ジェット洗浄
7-4 液流の利用の仕方
7-5 蒸気を利用する洗浄
7-6 物理的に擦り落とす洗浄法
7-7 泡のクッション作用を利用する洗浄法
7-8 泡の付着作用とせん断作用を利用する方法
7-9 気泡の気/液界面の衝突を利用する方法
7-10 プラズマや光を利用する洗浄
コラム 洗濯機とランドリー機器

第8章 洗浄法と条件
8-1 油汚れの除去方法
8-2 固体汚れの除去方法
8-3 水溶性汚れの除去方法
8-4 複合汚れの除去
8-5 RCA洗浄
8-6 機械力と化学作用の関係
8-7 除去が困難な汚れ
8-8 洗浄時間の影響
8-9 0次反応と1次反応
8-10 洗浄の速度論
8-11 洗浄温度の影響
コラム 放射性物質の洗浄

第9章 清浄度の評価
9-1 清浄度の簡易評価法と洗浄率
9-2 表面反射率
9-3 表面反射率と汚れ量を結びつける数式
9-4 画像データを用いる洗浄率算出法
9-5 有機汚れの機器分析
9-6 無機汚れの機器分析
9-7 呈色反応による鉄とタンパク質の定量
9-8 洗濯用洗剤の洗浄力試験
9-9 食器洗浄用洗剤の洗浄力試験
9-10 金属板に付着した汚れの洗浄試験
9-11 液流の影響を見る洗浄試験
9-12 6種の汚れ別の汚染布の作成
コラム 洗浄場面のモデル化の注意点

第10章 環境問題との関係
10-1 洗浄剤成分の生分解性
10-2 水生生物への影響
10-3 洗浄分野につながりのある環境法関連事項
10-4 洗浄とエネルギー消費
10-5 エントロピーから見た洗浄の意味
コラム 洗浄力と環境影響を考慮した総合的評価

(2012年1月19日)

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