石鹸安全信仰の幻

文春新書260

大矢 勝 著、 文藝春秋 発行

ISBN 4-16-660260-8


今まで石鹸・合成洗剤をめぐる問題について、「合成洗剤と環境問題」、「合成洗剤は本当に有害なのか?」の2冊の単著を発表してきましたが、前者は資料データの出典をまとめた教科書風、後者は合成洗剤追放の考えに対してかなりの辛口論評風にまとめた内容でした。この2冊は、そのスタイルがかなり異なるものですが、共通して頂いた意見は「内容が難しい」とのことでした。洗剤の科学の基本的な部分をご存じないという方には非常に読みにくいものであるとのことでした。そこで、今回は丁寧に分かりやすく洗剤問題の科学的背景を説明し、その上で石鹸・洗剤問題はどう考えていくべきかということを説明する書籍を発表することとなりました(7月19~20日頃発売予定)。

タイトルの「石鹸安全信仰の幻」というのは、一見すると、例によって過激な内容なのだろうかと連想されるむきもあるかもしれませんが、実際にはそれほど過激ではありません。文体も「です・ます」調を基本とし、「批判」というよりは「提言」風の流れに仕上がったように思います。章立ては次のようになっています。

第1章 そもそも洗剤とは何か
第2章 どういう安全論争がなされてきたか
第3章 合成洗剤は体に悪いか
第4章 合成洗剤は環境によくないか
第5章 トータルで洗剤の得失を考える
第6章 これからの課題

環境問題が複雑化してくる中、科学的な情報をどのように捉えていくべきか?そもそも、「科学的」とはどういうことなのか?といったことを洗剤問題を一つの事例として考えていくきっかけになれば、と思い著しました。一応、合成洗剤・石鹸論争に関して言いたいことは、この書籍と、今までに記した書籍でほとんど言い尽くしたような気がします。
(2002年7月16日)

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Last modifided 2002.07.16 Maintaied by OYA Masaru (大矢 勝)