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■ 洗浄研究で一番重要なポイントは? | 2024. 7.19 |
洗浄研究とは汚れが付着した、布や皿やガラス等々の基質を洗浄して、その汚れの落ち具合を観察して洗浄力の大小を評価することがベースになります。実用を重視した洗浄試験では天然に付着した汚れ、たとえば垢で汚れた衣服や、実際に使った食器、実生活で汚れた住居、また産業洗浄ではそれぞれの現場での実際の汚れを対象として洗浄試験を行うことが基本となりますが、洗剤の種類や洗浄装置などの比較を行う場合には天然汚れは不適です。付着状態のばらつき等が大きいので、たとえば試験結果として洗剤間の優劣が生じても、それが必ずしも洗剤の種類の差というのではなくて、汚れの付着力のばらつきによるものだということもよくあります。 このばらつきを小さくするには、天然の汚れではなく人工的に調製した汚れを用いるのが効果的です。しかし、人工的に調製した汚れは天然の汚れとは異なるものです。人工汚れでは汚れ量を計りやすくするのなどの工夫もありますが、モデル汚れの除去過程が実際の汚れのものと同様であることが一番重要です。例えば、皮脂汚れのモデルとしてサラダ油などを用いると、除去メカニズムが異なるので適切な結果が得られません。皮脂汚れはアルカリ成分で大きく左右されますが、サラダ油は強アルカリ以外の弱めのアルカリでは効き目が弱いです。サラダ油なら、むしろ界面活性剤濃度が高い方がずっと有利になります。 実際の汚れの成分は何かということを考え(場合によっては分析し)、そこから洗浄メカニズムを推察し、同様に除去が進む汚れ組成を提案し、洗浄力評価が行いやすいレベルに汚れの取れにくさを調製するというのが一般的なパターンですね。それで、このパターンでの研究を修士院生さんにやってもらおうたって無理です。色々な経験+科学的知識が組み合わさって適切な汚れの選択が可能になります。 そうだ、このあたりをしっかりまとめてやれば、特に実用に役立つ洗浄研究の指針になるかもしれませんね。 |