水酸化ナトリウム水溶液のpHの計算法(Q&A_010)

pHは水素イオン指数であるが、アルカリ度を数値化するには水酸化物イオン指数pOHを用いると便利である。ここでは水酸化ナトリウムのpOHを計算し、そこからpHを求めてみる。

水酸化ナトリウムはモル質量が40.0g/molである。1M(=1mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液は40.0g/L=4.00g/100mL=4.00%の濃度となる。この1M(=4.00%)の濃度の水酸化ナトリウムのpOHを求めてみる。

水酸化ナトリウムは強塩基であるため水中に存在するNaOHの全てがNa+とOH-に解離すると考える。すると、1Mの水酸化ナトリウム水溶液に含まれるOH-の濃度[OH-]も1Mとなる。よって、
pOH = -log(1) = 0
1MのOH-が含まれる水溶液のpOHは0になるのである。
1Mの1/10の0.1M(0.400%)の場合は、
pOH = -log(0.1) = -log(10^-1) = 1
よってpOHは1となる。
その1/10濃度0.01Mでは
pOH = -log(10^-2) = 2
更にその1/10濃度0.001Mでは
pOH=-log(10^-3)=3
水酸化ナトリウムを10倍ずつ薄めるとpOHが1ずつ大きくなることが分かる。

さて、pOHとpHの間には次の関係がある。
pH+pOH=14
だから、14からpOHを差し引いてやればpHが求まる。
水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度(w/v%濃度)、pOH、pHの関係は以下のようになる。
1M(4%) pOH=0 pH=14
0.1M(0.4%)pOH=1 pH=13
0.01M(0.04%)pOH=2 pH=12
0.001M(0.004%)pOH=3 pH=11

水酸化ナトリウムは5%以上の濃度の水溶液が劇物に指定されている。一般的な家庭用の住居用強力洗浄剤や塩素系漂白剤など、pHは12~13程度のものが多くみられる。それは水酸化ナトリウム濃度0.01M~0.1M、つまり0.04%~0.4%程度となる。パイプクリーナーでは水酸化ナトリウム濃度1.8%程度のものがあり、そのモル濃度は18g/L=0.45Mである。そのpOHとpHは下記のように計算できる。
pOH = -log(4.5×10^-1)= 1-log4.5 = 1-0.653 = 0.347
pH = 14-0.347=13.65

以上、水酸化ナトリウムを例にpOHとpHを計算してみた。強塩基のpHは比較的簡単に計算できるが、弱塩基(アンモニア程度しかないが・・・)は少し手間がかかり、炭酸ナトリウムなどの弱酸と強塩基の塩になるとpOHやpHの計算は結構複雑になる。

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横浜国立大学名誉教授 大矢 勝
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