洗浄理論とは?(Q&A_008)
洗浄理論とは汚れ除去のメカニズムを法則的に説明する科学的な知識体系である。一般には洗浄機構解明のための研究や洗浄技術に関する方法論も含めた科学的な知識体系を洗浄理論として捉える場合が多いが、厳密にみた場合、洗浄理論は研究等の方法論とは区別されるべきとする捉え方もある。
汚れ除去メカニズムに関する理論としては、油脂汚れの巻き上げ(ローリングアップ)作用の理論、脂肪酸等の極性油性汚れの可溶化作用に関する液晶形成に関する理論、粒子汚れの除去メカニズムに応用できる分散・凝集に関するDLVO理論、汚れの付着・脱離を安定性から判定する界面自由エネルギーに関する理論、溶解型洗浄の基礎理論となるSP値(溶解度パラメータ)理論、洗浄現象を解釈するためのエントロピー理論等がある。巻き上げ作用に関する理論は基本的に洗浄現象の解析を主目的としたものであるが、他の理論は既存の理論を洗浄分野に応用するものであり洗浄分野に限って洗浄理論としているものである。
洗浄技術の方法論に関する内容として汚れの分類法に関する知識体系があり、洗浄研究に関する方法論としては各種の洗浄速度論が代表的なものとして挙げられる。
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横浜国立大学名誉教授 大矢 勝
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